住職のショートショート:エピソード40「お仏壇から日記帳」

お仏壇から日記帳

お仏壇は、本当は、『お内仏』(おないぶつ)と言われます。
かつては、子どもが独立して家から出て行く時に、親が持たせたものでした。

ところがお仏壇というものは、家の中で亡くなられた方がいないと、安置(お祀り)してはいけないという習慣になってしまいました。

浄土真宗では、阿弥陀如来がご本尊としていますが、どの宗派であっても仏様が安置されています。
その仏様に日々手を合わせて、平安を得、生活していくことが本旨です。

ある日、お参りの後、お茶を頂いてました。
「お仏壇の引き出しの奥から、主人の日記帳が出てきました!」
と奥様がおっしゃいました。

私は「何か故人と新しい出会いが有りましたか?」とお尋ねしました。
奥様は「主人の女の遍歴が書いてました!」

私は「今となっては、笑って済ませてはどうでしょう、、」と言いましたが、
奥様は「もう悔しくて仕方ない!」とお怒りでした。

結局その日を最後に、お仏壇終いされる事になり、その方とのご縁が無くなりました。
お仏壇が故人をご縁として、阿弥陀如来に合掌していく場所という事だったなら、とわたしは思うばかりでした。

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