住職のショートショート:エピソード28「酒を飲めない人の気持ちがわかりました。」

酒を飲めない人の気持ちがわかりました。

私は、20歳になった頃、お酒を飲むことができるようになって、
少し飲むようになりました。

私の友人達は、飲む事が大好きでした。
私はお酒を飲むと頭痛がしたのですが、負けず嫌いな為に、
飲めないことを隠して、我慢しながら飲んでいました。
歳を重ね、私は、だんだんと無理して飲むことをやめるようにしていきました。
ところが、食事の席で、人から勧められことが多くなって来ました。
飲めないからと断ると、相手の方は相当なお怒りの態度を出されました。
「私の盃がとれないのか!私を馬鹿にしてるのか!」と、
とても険悪な状況に度々なりました。
それでも頑固な私は、飲まないようにしていました。

ある日、度々私にお酒を勧めていたその方が、
「お酒を飲めない人の気持ちがわかりました。」とおっしゃいました。
なんでも喉が病気になってお酒が飲めなくなられたとの事でした。
しかし私は、思いました。
その方は、飲みたいが飲めない、
私は別に飲みたいと思わず、むしろ頭痛が激しくなるので飲まない。
同じ飲めない気持ちなのかなあと、心が通じたとは思えないでいました。

お酒を飲める人達は、会話が弾みます。
お酒の銘柄などで楽しくお話しをされる様子は、羨ましいものが有ります。
一度食事を招待されて、
「このワインは絶対に美味しいから飲みなさい!」と勧められ、
断り切れず飲みました。
口に含むと、とてもまろやかな味わいで驚きました。
下の上から溶けていくようでした。
かなりの高額なワインであったと、想像しました。

現在は、飲酒運転の取り締まりが厳しくなり、
瓶や缶のままでお酌することが少なくなって、
私には良い時代になりました。

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