住職のショートショート:エピソード14 「ハスキー犬 」

ハスキー犬

私が子供の頃、ハスキーな声の魅力的な歌手がいました。
気怠い歌い方が、とても新鮮でした。

ある日、お参り先の玄関の戸を開けると、犬がいました。
その鳴き声が「ファンファン」と聞こえ、突然、私の子供時代のハスキーな歌手を思い出しました。
お宅の方に「ハスキーな声のワンちゃんですね!」と声をかけました。
すると家の方は、思わず涙ぐまれました。

私は『またやってしまった!』と冷や汗がでました。
「隣の家の方から犬がうるさいとクレームが来て、保健所に連れて行くか悩んだ」そうです。
友人に相談して、結局、犬に声が出なくなる手術を獣医さんにしていただいたそうでした。

私は、その出来事を別のお宅で話をしました。
すると「私ならそこまでして、犬を飼う事は有りません。」ときっぱり言い切られました。
その方は、飼い主の行為を動物虐待と批判されているように私には聞こえました。
しかし、犬を保健所に連れて行けば、殺処分されるかもしれません。

「正親含英先生が私のお寺で、『本当に悲しいことが悲しめない悲しい時代になりましたね。』とよく話をされていた。」
とかつて父が申していたことを思い出しました。

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